2010年2月24日水曜日

田舎暮らし案内人(水口暉夫さん)

南砺市の水口暉夫さんを訪問しました。





水口さんは、南砺造園業組合組合員、南砺造園業協会会長、NPO法人南砺の山々を守る実行委員会理事、福光里山カウベルト有交会、NPO法人グリーンツーリズムとやま会員としてご活躍中です。

NPO法人南砺の山々を守る実行委員会は5年前に設立しました。南砺市の森林の再生を目指してドングリを拾う活動や植樹祭を開催してきました。立ち枯れした木の伐採活動、チェーンソー講習、炭焼き、炭の販売など、木の有効活用にも取り組んでいます。


水口さんは年間300~400kgの炭を生産しています。水口さんの炭は香りが良く、火の粉があまり跳ねないので、イワナの炭焼きや焼き鳥、民宿の囲炉裏など商売をされる方々が好んで購入しているそうですよ。

水口さんから、現在富山県でも被害が広がっているカシノナガキクイムシとイノシシについてお話を伺いました。



■カシナガ被害について

ミズナラの木を枯らすカシノナガキクイムシの被害が広がっている。辺りの木を食べつくしたら一旦被害は終息して、カシナガは別の場所に移動していくが、今度は次の問題が起こってくる。枯れた木を放っておくと、風や雪で倒れて土砂崩れを起こす。今までは木が根っこを生やすことによって地面を支えていたが、木が倒れることによって表土を保つ力が無くなり、災害に弱い山になってしまった。最近ではゲリラ豪雨によって、何百年もかかって作られた表土が流れてしまった。

この現状を改善させるためには山を若返らせること必要。木を切って炭を焼き、植林をする。そうすれば次の世代にもつながる森林になる。

現代は山仕事や炭焼きが出来る人が少なくなった。地域の人達が山にある資源を活用して生活するという心がなくなってきたのが大きな原因だ。中国から安いものが手に入り、地元のものを使っても採算が合わないから皆さん活用しようと思わない。しかし、山にこんなにたくさんの資源があるのだから有効活用すべき。地域の人達にも危機感を持って伝えていかなければいけない。


■イノシシ被害について

富山県内でイノシシの被害が拡大している。3年前はサツマイモとジャガイモが全滅した。イノシシは鼻が良いので、完熟したイモの中心だけを食べる。一度イノシシが入った田んぼはもう臭くて食べられない。もし被害を逃れたとしても、イノシシが歩いた形跡があると匂いが移って全ての米が臭くなるので農協も買ってくれない。そこで、一昨年からカウベルト事業を始めた。牛を放牧させたら見事にイノシシもクマも来なくなった。

昨年福井県永平寺町に行ってイノシシ捕獲の名人に話を聞いてきた。永平寺町には10年前は1頭もいなかったが、現在は1万頭のイノシシがいて、山は異様な匂いがする。イノシシは3年で10倍に数が増えるので恐ろしい。一つの原因は人材不足。永平寺町には5人ほどしか猟師がいない。イノシシには殺されるという警戒心がない。

富山県も5年もすれば永平寺町と同じ状況になるだろう。皆が気付く頃にはもう取り返しのつかないことになるので早目の対策が求められる。牛の放牧は確かに効果があるが、牛のいるところだけイノシシが来ないという状況だ。牛をあまり増やすと管理出来なくなるので、ある一定の数しか牛を飼うことが出来ない。イノシシの増える速度にはとても追いつかない。幸い南砺市には猟友会があり、50人以上の猟師がいる。きちんとした組織がないと対処するのは難しいだろう。




水口さんからのメッセージです。

「自然を相手にするということは、自分達の思うようにはならないということ。自然というのはもっと奇想天外で残酷な世界だ。食うか食われるかの世界でもある。現代の人間は、自分達が生態系の一員という感覚がなくなっている。50年前までは我々はもっとサバイバルな生活をしていたものだ。鶏をさばいたり、トンビやウサギを食べたり、動くものを見たら全て食べ物だと思っていた。やはり人間は強く逞しくないといけない。最近は軟弱な若者が増えてきた。自然の中で生きる術を皆さんにもぜひ身に付けて欲しい。

簡単なところから言えば、まず薪で火を熾すことすら知らない若者が多い。いきなりマッチで炭に火を近づけても火がつく訳がない。こういうのは単に経験の差。例えば火をつける際の格言で「下夏上冬」というのがある。炭をくべるときに、夏は火種を下に、冬は火種を上に乗せるとよく燃える。

また、我々は自然に対する畏敬の念を持たなければいけない。日本には昔から木や草にも神様が宿るという考えがあるが、自然を大切にする気持ちをぜひ皆さんにも持ってもらいたい。地球温暖化問題や自然災害など、結局人間が原因を作っている。最近は台風、津波、山崩れや地震など、自然災害のスケールがこれまでよりもずっと激しい規模になっている。これからもっととんでもないことが起こるかもしれない。

自分はこれからも出来る範囲で、体力の限度内でやれることを続けたい。炭焼きや植樹の他、身の回りにあるものをどう有効活用するかという方法を模索していきたい。のんびりと優雅に楽しくやるのが長続きするコツだろう。」


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