富山市の橋本秀延さん・順子さんご夫妻を訪問しました。
橋本さんご夫妻は、1981年に東京から富山に移り住み、農業を始められました。中山間地農業の再生を願って1994年に有限会社土遊野を設立。持続的な農の在り方、人も家畜達も自給率を高めた暮らしを目指す有畜循環型複合農場として、様々な取り組みを行っています。
■水稲 約500aをアイガモ農法などで無農薬・有機栽培(有機JAS認定取得)
■平飼養鶏 約800羽を輸入トウモロコシを使わず、くず麦、くず大豆、米ぬか、緑餌などを自家配合し発酵させた飼料を与え、平飼いで。ケイフンは田んぼや畑の飼料に。
■畑 約30種の季節の野菜を無農薬で。ぎんなん、ブルーベリー栽培。自家製パン用に小麦。にわとりの飼料用にデントコーン。地元そば祭り用にそば、など。
■加工品 自家製小麦、米粉と自家製の天然酵母でパン製造。卵をたっぷり使ったシフォンケーキ、クッキーなど。
実は、この「土」という集落には現在橋本さんのお宅しかありません。まさに限界集落なのですが、土遊野には県内外から老若男女を問わず常に大勢の方々が訪れて賑わっています。
ファームステイやWWOOFホストとして有機農業実習生を受け入れたり、YMCA地球っこクラブやボーイスカウトの子ども達に生命のぬくもり体験(ヤギの乳しぼり体験、卵の生まれる瞬間を見る、田植え・稲刈り体験など)を提供したり、そば打ち体験、パン&ケーキづくり体験、陶芸教室&窯焼きなどの体験教室も実施しています。
現在は富山国際大や富山工業高専などの研究者と連携して、水車を使った小水力発電に取り組んでいます。これでエネルギーも自給出来るようになりました。
今年からは森づくりにもチャレンジするそうですよ。
橋本さんからのメッセージです。
「現代の世の中はお金がなければ暮らせないと思われています。住宅や衣類、食べ物だけでなく、今や飲み水もお店で買うものになっています。だからお金をかせぐ必要がある。でも、お金で買えない大切なものもあるのではないでしょうか?一度今までの生活の在り方を振り返ってみませんか?もし自分が食べるもののほんの一部でも作ろうとする姿勢があれば、大都会でも田舎暮らし的な豊かな生き方が可能だと思います。普段は都会で暮らして、週末だけ田舎で暮らすというのも一つの方法です。
また、今は全ての作業が分断化・分業化されています。それで作業が効率的になったかもしれないけれど、一方ではそれで失ってしまったこともあるのではないでしょうか?百姓は百の仕事をすると言いますが、昔の人達はそれこそ衣食住をなるべく自分達でやろうとしていたものです。
土遊野農場では、出来る限り全てのことが一つの場所で成り立つようにと考えています。ここが生活の場であり、労働の場であり、生産活動の場でもあります。今では経済的にも成り立つようになり、最近は小水力発電によってエネルギーまで自給出来るようになりました。これからも持続可能で心豊かな暮らし方、農の在り方を模索し続けていきたいと思います。
21世紀にどういう暮らし方が人々の心に平和をもたらすのでしょう?競争や暴力じゃない社会を作り出すためには何ができるのでしょう?どうか皆さん一人ひとりが出来ることから始めてみてください。
土遊野農場での取り組みや田舎暮らしの体験を皆さんと共有して分かち合うことによって、そういったことに気付くきっかけになればそれが何よりです。」
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